模型は語る
「模型は語る」は3つの短編ビデオからなる新しいシリーズで、カナダ建築センター(CCA)と、東京を拠点に活躍する建築キュレーター・編集者の太田佳代子氏が共同で制作し、東京とベルリンに拠点を置くスタジオグロス(Studio GROSS)が監督した作品です。日本の現代的都市空間から誕生した最新の建築プロジェクトを紹介しています。
「家のまわりも家の中」中川エリカ
この映画の中では、東京の非常に小さい土地を占める高層ビル、いわゆる「鉛筆のような細長いビル」を、小さいからこそ生み出せる可能性を探る実験だと捉えています。敷地の小ささや過密さを課題として考えるのではなく、住人が建物を通して、さまざまな物理的な状況を楽しめる方法を模索しています。構造から配管、金物類に至るまで、すべての建物の要素がどのように機能するのかを再定義し、それぞれが「遊び」の中で複数の役割を担うのです。過密した生活の中で新しい価値を生み出し、近所との共有スペースの感覚を作り出そうとする建築的思考があります。
「吹き抜けの理由」赤松佳珠子
渋谷の都市再開発には、周囲との物理的な関係性を高めながらも公共の場であることを考慮して、たくさんの斬新なアイデアがこの超高層ビルのデザインに導入されました。この実験的な建築は、都市計画と土木工学との珍しいコラボレーションの結果であり、事実上のマスタープランナーである内藤廣氏のチームの手により可能なものとなりました。大きな力に屈服しない都市再開発のモデルが、この新しい超高層ビルによって誕生しました。
「混ぜご飯のレシピ」乾久美子
乾氏の建築の独創性は、利用者の行動や価値観を洞察する力、そして建築が従来の考え方から解き放たれるような新しい状況において、生活を豊かにするための想像上のスクリプトから生まれます。延岡の新しい駅舎は、商業的利益を増やすのではなく、人々が集まる場所を増やす試みです。建築が、さりげなく、しかし意図的に人々の行動や振る舞いに影響をもたらすことで、この複合施設に託された都市再生に向けた数多くの使命を実現することができました。